青森県五所川原市出身、女子スキージャンプの藤元彩子選手。五所川原市の金木中学校時代には全国大会で2大会連続の準優勝。将来、オリンピック出場が期待される選手です。同世代で常にトップ争いを繰り広げている藤元選手ですが、取材をしていると、そこには憧れのオリンピック選手の存在がありました。
【藤元彩子選手】「高校では今より飛べる台が大きい台もチャレンジできるので、そこに向けて頑張っていきたい」
この春、藤元選手が進学したのは弘前工業高校。この日は県外での実戦練習に備え、バランス感覚を養うトレーニングを行っていました。
「ちょっと待って!もうすでにやばい!」
【藤元選手】「高校3年間では、体の筋力とか柔軟性とか、すぐには完成できないものをちょっとずつでもしっかりやっていけたらと思います」
そんな弘前工業スキー部。かつて多かった部員は減少し、現在、2・3年生の部員は0人。毎朝、登校には2時間近くかかるという藤元選手。弘前工業を選んだ理由は・・・?
【藤原アナリポート】「こちらはオリンピックに出場した卒業生の物が展示されています。中にはスキージャンプでトリノオリンピックに出場した一戸剛さんのスキー板とスーツが飾られています」
2006年・トリノオリンピックに出場した一戸剛さん。青森県野辺地町出身で弘前工業の卒業生でもあります。
【藤元彩子さん】「一戸剛さんが出ているんだったら、スキージャンプをちゃんと伸ばせるって信じてもいいのかなって」
現在は早稲田大学のスキー部監督を務める一戸さん。藤元選手の印象をリモートで伺いました。
【一戸剛さん】「長身ですし体の軽さも非常にあって、ジュニアの世代のトップを目指していってほしいなと。(2021年の)夏場、顧問の先生に会った時に進路で「どこに行こうかな」という話もしていたのでぜひ、弘前工業に行ってくださいよ!という話もした」
監督の存在も藤元選手が弘前工業を選んだ理由の一つ。藤元選手を指導するのが神島実孟監督。早稲田大学スキー部の出身で一戸剛さんの教え子。まさに「一戸イズム」を継承する指導者です。
【神島実孟監督】「実際にジャンプを教えてもらった中で、大学4年生の時に自分のジャンプも変わって一戸さんのアドバイスで結構変わったところもあったので感謝もありますし、自分が弘前工業に来てというのも縁を感じるというか」
神島監督は一戸さんから「弘前工業名物のある練習を復活させてほしい!」と言われたそうです。それは「弘前公園の堀でカヌーをする」。バランス感覚を養うトレーニングです。
【一戸剛さん】「練習は弘前公園のお堀でカヌーをやったんですよ」「神島にも藤元入ってきたらカヌーやらせて、バランスのトレーニングやらせた方がいいよって。カヌーなんて今ないですよっていうから」
【神島監督】「カヌーいいよ、カヌー、カヌーしかしてなかったよって言われてたので」
(Q.復活する可能性)「どうですかね~!?すごい首振ってますけど」
【藤元選手】「絶対嫌です!笑」
カヌーの練習は現在行われていませんが、バランス感覚を養うにはやっぱり「水」が効果的なようで、スクワット中に担いでいるのは水が入ったトレーニング用のバッグ。少し持たせてもらうと…
【藤原アナ】「安定させるのが難しい!ちょっと傾くとぐっと行っちゃうので」
【神島監督】「ちょっとでも体曲がると水がこっち行っちゃう。ジャンプも、傾いて滑っていると駄目なので両足均等に」
試行錯誤しながら練習メニューを考えているという神島監督。一戸イズムを感じました。冬に開催されるU20の世界選手権出場を目指す藤元選手。今後の目標は…
【藤元選手】「オリンピックは小さい頃から見ていた夢の舞台なので出たいし、絶対に出るという気持ちでずっとジャンプをしています」
「(オリンピックで)入賞することが目標です」
ちなみに。
【藤元選手】(Q.一戸さんの当時のスーツとスキー板を見て)「なんか古いな、としか…笑」