先週、聴覚障害者の世界大会・デフリンピックの陸上100メートルで、五戸町出身の佐々木琢磨選手が金メダルを獲得しました。まだ、現地ブラジルにいる佐々木選手に手話で話を伺いました。
陸上競技の花形100メートルで、日本人史上初の金メダルに輝いた佐々木琢磨選手。青森と、デフリンピックの舞台 地球の裏側ブラジルのカシアス・ド・スルをつないでリモートインタビュー!
日本とブラジルの時差は12時間。日本は16日の朝で、ブラジルは15日の夜です。夕食を済ませたばかりの佐々木選手と、手話でお話しました。
【服部アナ】
「金メダルおめでとうございます」
【佐々木琢磨選手】
「おめでとう・・・あれ?ない。あっ・・・じゃーん」
【服部アナ】
「すごーい本物だー」
【佐々木琢磨選手】
「ピカピカ!」
【服部アナ】
「ピカピカですね~」「うわ、すごーい」
【佐々木琢磨選手】
「ありがとう」
【服部アナ】
「金メダルを取った時の気持ちは?」
【佐々木琢磨選手】
「表彰台に立った時に、神様が「おめでとう」と言ったのが聞こえました」
【服部アナ】
「ブラジルでの生活はどうですか?」
【佐々木琢磨選手】
「周りは森ばかりで(古里の)五戸町に似ています。佐々木琢磨のための場所だと思いました」
予選を2位で通過した佐々木選手。100メートル決勝では不思議な感覚を覚えたといいます。
【佐々木琢磨選手】
「(決勝で)目の前に大きいオレンジ色の太陽が照らしていて、光の道がたくさん見えました。自分だけの道がオレンジ色にピカピカ光っていて、空も真っ青ですごく奇麗でした。(決勝戦の最中に)「今、現実じゃない。夢の中にいる」と思いました」
2位との差はまばたきよりもはるかに短いわずか0秒02。それは、佐々木選手にしか分からない感覚。
【佐々木琢磨選手】
「人間の世界から、神様の世界へ向かう道を走っていた感覚です」
夢だった100メートルでの金メダル。勢いそのままに、200メートルや連覇がかかる400メートルリレーに臨むはずでした。しかし2日後、日本選手団の中で新型コロナ感染者が11人に。すべての競技の選手が大会途中での出場辞退を余儀なくされました。
【佐々木琢磨選手】
「心に穴が出来た感覚です。400メートルリレー決勝の場でライバルと一緒に走れなかったもどかしさがあります」
「次、2025年のデフリンピックでは「完全勝利の世界一」を目指したいです。すべての選手の自己ベストを超えるタイムを出して勝つこと、それが「完全勝利の世界一」です」
佐々木選手は早く日本に帰って、青森の寿司、特に貝とマグロを食べたいと話していました。
3年後の2025年大会は日本で開催しようという動きがあります。佐々木選手の金メダル獲得は、全国的にも「デフリンピック」「デフ競技」の知名度向上に貢献しました。3年後はぜひ日本で、佐々木選手の「完全勝利の世界一」を見たいと思います。