8月に全中=全国中学校体育大会の走り高跳びで優勝した弘前市立常盤野中学校3年の東隆臣選手。すごさの秘密を探るため学校に行って取材してきました。
岩木山のふもと、嶽きみで有名な青森県弘前市の常盤野地区。ここから日本一のジャンパーが誕生しました。
やってきたのは常盤野中学校。常盤野小学校も併設されています。音楽室をのぞいてみると・・・いました。彼が走り高跳び全中チャンピオンの東隆臣選手です。中学校では生徒会長も務めます。
8月、福島県で行われた全中の男子走り高跳びで自己ベストタイの1メートル94を1回で成功させ、優勝を果たしました。
【東隆臣選手】
(Q.これは何の練習?)「登山ばやしの練習をしていました、岩木地区の伝統芸能の練習をしていました」
パート練習の後は小学生も交えて合同で全体練習。小学生が15人、中学生が9人と少人数の学校なんです。中学生が笛、小学校高学年が太鼓、中学年以下がかねを担当。学年が上がるにつれて楽器が変わるのが伝統です。
給食の時間、ご飯は昔話のような山盛りです。身長177センチ、体重62キロ。この食事が強じんなバネをつくり出しています。
5時間目の授業は外ということでグラウンドの隅で待っていると生徒たちが軍手をしてやってきました。
【東隆臣選手】
(Q.これから何を)「嶽きみ収穫ですね!」
なんと校庭の隅に嶽きみ畑があるんです。この日は技術の授業が「嶽きみ収穫」に急きょ変更されました。慣れた手つきで収穫する東選手。実は東選手・・・実家が嶽きみ農家なんです。
【東隆臣選手】
「今年(2022年)は、きみ(とうもろこし)自体は不作ですけれど、味は例年通りなのでおいしいかなと思います」
授業が終わり部活動の時間。岩木山をバックにランニングが始まりました。ちなみに常盤野中学校には陸上部しかありません。全員陸上部です。
陸上部の顧問、三上清光先生、東選手の強みはどんなところですか?
【三上清光顧問】
「すごく運動センスがいいんですよね、見ればできるみたいな」
「自分で研究して強くなっていった」
本を読んだりインターネットで動画を見たりして自分で跳び方を研究。中学1年生の時から30センチ以上記録を伸ばし、日本一をつかみ取りました。
それではお待ちかね、東選手の跳躍、見せていただきましょう。
【藤原アナ】
「挑戦してもらう高さが175センチです。靴を履いている私の身長とほぼ一緒ですよね」
県の中学レベルでは飛べれば表彰台、という高さです。
「いきます!」
軽々クリア!東選手目線の映像がこちら。こんな風に見えているんですね。(跳ぶ)形もきれいです。
【藤原アナ】「なんかね、最高到達点でフワってなるんですよ!なんかちょっと無重力状態みたいなものを感じてます?」
【東隆臣選手】「感じてます!」
そしてこちらが全中で飛んだ1メートル94。自己ベストの高さに並んで立ってみました。
【藤原アナ】
「助走してきて跳ぶのと、(バーの)下にいるのと、高さの感じは違いますか?」
【東隆臣選手】「近くに来たら跳べそうだなという感じはします」
【藤原アナ】「近い方が低く見える?」
【東隆臣選手】「近く見えます」
「近くに行くと自分がどんな風に跳べば跳べるかかというのが、大体想像ついてくるんですよ」
「2メートル5センチまではできるな、というイメージはできてます」
【藤原アナ】
「県の記録じゃないですか!」
県の中学男子記録は2メートル。東選手は記録更新を目標に日々練習に励んでいます。
練習後、せっかくなので嶽きみを食べながら話を聞きました。
【東隆臣選手】
「甘くておいしいですね、やっぱり甘いのがおいしいですね」
(Q.常盤野地区の好きなところは?)「やっぱり家の前の(嶽きみ)畑が一番好きですね」
「きみって今年はそうでもないですけれども、背が僕より大きくなるんですよ、その中でかくれんぼしたり鬼ごっこしたりとか」
(Q.嶽きみを食べて育ったことは競技につながっている?)「いつも(嶽)きみの一番上にトンボが止まるのですが、その、ずっと上をみて育ってきたので、上というものには興味がありました」
(Q.具体的な目標はありますが?)「世界で輝ける選手になりたいですね」
「世界陸上とかオリンピックとか、まだまだ先ですけれど、そういうことも思い浮かべて毎日跳躍練習しています」
東選手は、10月21日から愛媛県松山市で開かれるJOCジュニアオリンピックカップU16陸上大会に出場します。そこで2メートル越えの跳躍に期待しましょう。