高校野球春のセンバツが現在行われていますが、3年前、新型コロナによって夏の甲子園が中止となり、目標を奪われてしまった世代があります。そこで始まった「あの夏を取り戻せ」プロジェクト。2023年秋、3年越しに甲子園で試合という夢がかなうかもしれません。
「ボールをつかみました!青森山田が3年ぶりに夏の頂点に上りつめました」
2020年夏。青森の頂点に輝いた青森山田。しかし、その先に「夏の甲子園」はありませんでした。そんな中、2022年8月。あるプロジェクトが始動しました。
「あの夏を取り戻せ」
各都道府県の独自大会で、最後まで勝ち残ったチームを集め、甲子園で試合をするというプロジェクトです。発起人は武蔵野大学2年の大武優斗さん。自身も東京・城西高校の元球児で、甲子園がなかった代の一人です。
【大武優斗さん】
(Q.始めようと思ったきっかけ)「2年経ってもなかなか忘れられなくて、諦めることができなかったというのがプロジェクトを始めた経緯であって」
「これって僕たちの代の選手たち全員なんじゃないかなというところから、2年前の気持ちから何か一つ終止符を打てるプロジェクトをと思って立ち上げました」
青森山田の正捕手として独自大会優勝に貢献した新井山泰佑さん。現在は桐蔭横浜大学でプレーをしています。このプロジェクトを知って・・・
【新井山泰佑さん】
「自分たちの代だけ甲子園がなかったので、そういうのをやってくれるというのは単純にうれしかったですね」
そして、運営側でこのプロジェクトを支えたいという元球児も。秋田大学2年の中村徳馬さんです。八戸東高校野球部のキャプテンを務めました。
【中村徳馬さん】
「代表の大武が自分と同い年で、なかなか若い人でこうやって先頭に立って行動できる人はあまりいないと思っていて、そういう人の手助けができればと思って運営に応募させていただきました」
プロジェクトを進めている主要メンバーは学生たち25人。「自分たちの代」をつないでいるのは・・・
【中村徳馬さん】
「SNSの宣伝や参加校とのやり取りをしています」
「SNSだと当時の選手から『ありがとう』とか『楽しみにしている』というような声がいただけるのがとてもうしいです」
活動は一気に広がり、開始からわずか2カ月で49地区のうち46チームの参加が決まりました。そして、プロジェクト始動から7カ月。甲子園球場での開催が決定。「自分たちの代」が力を合わせて成し遂げた大きな成果です。
【大武優斗さん】
「やっと決まって、やっと皆に良い報告ができるというところで、すごくほっとしました」
【新井山泰佑さん】
「甲子園でしか味わえない独特な雰囲気で、いろいろなピッチャーの球を捕りたい」
「あのチームメートで楽しくグラウンドで野球できることが一番楽しみです」
大武さんが最初、プロジェクトを立ち上げたころは「そんなことできるわけないだろ」と批判的な意見も多かったそうです。現在甲子園球場を使用できるのは11月29日の1日のみ。内容については検討中ですが、案としては、まず全チームで開会式とシートノックを行い、試合は東西戦のような形がよいのでは?という意見が出ています。
6月からクラウドファンディングで支援を募り、球場利用料や選手たちの交通費に充てたいと話していました。
2023年夏の高校野球青森大会は7月12日開幕 春と秋の大会は地区予選なくなり、複雑な指導者も