弘前市の老舗百貨店「中三弘前店」には29日、臨時休業の張り紙が貼られていました。
【買い物客】
「お気に入りの洋服屋さんがあったりしていたので、残念です」
【買い物客】
「え~、困るね、ここなくなると」
「ずーっと何十年も通ってたから。ヨーカドーもなくなるし、困りますね」
扉を開けようとするお客さんも、張り紙を見て引き返します。
【買い物客】
「ここは、ちょうど私たちが着るのにちょうど良い服があるので、さみしいね」
中三は1896年、五所川原市で呉服店として創業。1954年以降、百貨店業を営んできました。
1998年には売上およそ415億円を計上しましたが、その後、郊外型ショッピングセンターとの競争激化などにより185億円まで減少。百貨店事業のみに絞り再建を目指してきました。
東北を中心に複数あった店舗は現在中三弘前店のみとなっていて、地下1階フードコートのラーメン店「中みそ」は多くの利用客に親しまれてきました。
しかし、さらなる競争激化や新型コロナウイルスの影響で売り上げが伸び悩み、2024年4月には「ジュンク堂書店」が閉店。
その後もテナントの退店が続き、29日付で事業停止とともに青森地方裁判所弘前支部に破産手続の開始を申し立て、開始決定を受けました。
事業停止時の従業員は85人、負債総額はおよそ9億円です。
【弘前商工会議所 今井高志会頭】
「(今後)まだどうなるか、中三の場合は分かりませんし、仮にそう(=入るところがない)とすると、影響は大変大きいと思いますよね」
「(従業員の)再就職みたいなことを、市やハローワークとか商工会議所も一緒になって情報共有しながらやっていきたいな、というふうには思っています」
百貨店事業の承継先は見つからず、中三弘前店跡地の再開発事業者も探している最中だということです。