カラオケ教室を運営する音楽事務所が主催した歌唱イベント。51組が参加し、自慢の歌声を披露しました。
その会場で。
「軽くシンデレラ。ありがとう」
「良かった~。しばらくです」
「素敵な色だ」
声を掛けられ、とびきりの笑顔を見せる着物姿の女性。青森県大鰐町の間宮節子さん(78)です。
【間宮節子さん】
「皆さんに『間宮さん間宮さん』って声掛けてもらうから、幸せな女です本当に」
「普段から前向きに愛して付き合えば、自分もほれられるんだなと思っております」
そう話す、普段の間宮さんの仕事は…。
【間宮節子さん】
「間宮さん頑張ってって、跡継ぎ設けてくださいって、間宮さんのようなせんべいないんだよって、まずありがたい言葉を頂きます」
県内外にファンを持つ、青森県大鰐町の「まみや煎餅店」。節子さんは100年以上続くこの老舗せんべい店を切り盛りしています。
3代目である夫の稔さんと、多い日には1日500枚ほどのせんべいを焼いています。
その傍ら、10年以上にわたってカラオケ教室に通い様々な発表会で歌声を披露してきました。
しかし、今回の発表会の出場にあたっては特別な思いがありました。
【間宮節子さん】
「8月8日朝起きたら、目が痛くて」
病院で脳内出血と診断され、入院することに。
【間宮節子さん】
「もう発表会には出られないなと思ったんだけど、手足丈夫だし、口には影響ないし、だからこれはやれるかもしれない、とリハビリ頑張りました」
「お世話になっています」
「大丈夫?」
「大丈夫です、おかげ様で」
「頑張ってね」
前向きな気持ちでリハビリを乗り越え、いよいよ迎えるステージ。
【間宮節子さん】
「ドキドキしない」
(Q.緊張しない)「はい」
一方、客席で何度もカメラを確認する夫の稔さんは。
【夫 間宮稔さん】
「緊張します。こっちが緊張します」
節子さんの着物は、4年ほど前に作ったものの、コロナ禍の影響でこの日まで着る機会がなかったそうです。
【夫 間宮稔さん】
「何としても、病気に負けず着せてやりたい、皆さんに見せてやりたい、そういう気持ちでやっておりました」
いよいよ、節子さんの出番がやってきました。
退院からおよそ1カ月でのステージ。
見に来てくれた人への感謝の気持ちも込めて見事に歌い上げました。
【間宮節子さん】
「本当に本当に、今まで生きてきたうちで1番記憶に残ります。本当に皆さんありがとうございました」
「お疲れ様でした」
【ヘアメイクさん】
「感動して、涙出てきた」
大きな病気を乗り越えた節子さん。今後も歌うことを続けていきたいと話します。
【間宮節子さん】
「やっぱり何でも前向きに生きていけば良いなと思っています。クヨクヨしない、私は。いろんな病気したけど、それが私の宝になってるんじゃないかなと思います」
節子さんは、月曜日から、またカラオケ教室に通って元気に歌っているということです。
「まみや煎餅店」は臨時休業中で、節子さんの回復具合をみながら再開したいということです。