豪華客船「クイーン・エリザベス」などを運航するイギリスの海運会社「キュナード・ライン」が、「最もラグジュアリーな寄港地観光ツアー」トップ10を発表しました。
実は1位に青森県のある場所が選ばれたんですが、世界の名だたる観光名所をおさえて1位に輝いたのは、何と青森市の酸ケ湯温泉でした。
登山や紅葉、そして冬にはスキーを楽しみに多くの旅行客が訪れ、観光名所となっている酸ケ湯温泉。
キュナードが提供している酸ケ湯温泉のツアーでは、日本最長のアーチ橋である城ケ倉大橋を渡り、八甲田山の景色を堪能。酸ケ湯温泉での入浴に加え、旅館内で伝統的な食事を楽しめるツアーとなっています。
今回、八甲田山系の景観や温泉文化に触れられることなどが高く評価されたそうです。
実は酸ケ湯温泉旅館では、外国人観光客に向けて、ある取り組みが行われています。それが、宿泊営業課の高田新太郎主任による「酸ケ湯温泉館内ツアー」。
高田さんは、弘前市で活動する通訳ガイドの藤田俊一さんと連携し、青森に来た外国人観光客に酸ケ湯温泉の魅力や湯治・混浴の文化を伝える館内ツアーをしています。
【酸ケ湯温泉宿泊営業課 高田新太郎主任】
「ここは国民保養温泉地第1号に選ばれている場所で、昔は病院の先生がいたみたいで、今は看護師さんがスタッフとしています」
「温泉の中に医療関係者がいるっていうのは新鮮だと思います」
そして、湯治棟にある炊事場には、八甲田山由来の水が流れ出る「冷やし槽」があり、古い日本の文化を味わうこともできます。
【酸ケ湯温泉宿泊営業課 高田新太郎主任】
「ここで湯治しているおばあちゃんとかが料理していると、日本人の方も、なんかすごいなって思います」
実は通訳の藤田さんが、八甲田ロープウェーが運休した時の代替案として、外国人観光客に館内を案内してほしいと高田さんにお願いをして始まったそうです。
【酸ケ湯温泉宿泊営業課 高田新太郎主任】
「初めて酸ケ湯に来た外国人の方とか、多分言わないと分からない人が多いと思うので、せっかく来たんであれば、湯治文化だったり混浴文化っていうのを少しでも知ってもらえればなと」
(Q.世界一のツアーと見た時どう思いましたか)「正直あんまり実感わかなかったですね」
(Q.なぜラグジュアリーなツアーに選ばれた)「ラグジュアリーというと西洋的な豪華なものをイメージされると思うんですけど、逆にここ(酸ケ湯温泉)とか日本の湯治宿とかっていうのは、無駄なものをそぎ落して残ったシンプルなところにあるんじゃないかなって思っていて」
【通訳ガイド 藤田俊一さん】
(Q.外国人のリアクション)「みんな興味津々」
「終わった後、どんどん質問してきます。すごくいいリアクションがあるってこと」
「他のロープウェーが止まった時に、急きょ予告なしにここに連れてくるんですけど、(ロープウェーが)止まったことでここを見られたからすごく良かった!と言う人もいる」
最近では、ヨーロッパからの観光客だけではなく、中国や韓国などアジア圏からの観光客にも人気だそうです。
高田さんは、取材に伺った日も中国の留学経験を活かし、滑らかな中国語で対応していました。
【酸ケ湯温泉宿泊営業課 高田新太郎主任】
「登山だったりハイキングとか山に行きたいっていう人たちが多いんですけど、雨降った時に困っている人が多いので、そういう時にも対応できればちょっと楽しみが広がるのかなって思っています」
高田主任の地道な活動が世界一に繋がったと思います。今後、館内ツアーの商品化も検討しているそうです。酸ケ湯温泉に行った際には、改めて日本的なラグジュアリーを見つけるのも楽しみの一つになるかもしれません。