「ライスボール」は、２０１５年に農業活性化アイドル「りんご娘」の姉妹グループとして結成。２０１８年からは、太陽（ひかり）さん、実土里（みどり）さん、水愛（あくあ）さんの３人によるボーカルユニットとして確立。高い歌唱力に加え、メンバー全員が楽器も演奏できる実力派で、青森県内で開催されるワンマンライブのチケットは、毎回ソールドアウトになる人気ぶりです。
太陽さんは、３月に青森県内の大学を卒業したばかり。事務所に所属するアーティストの多くが、高校や大学を卒業後、アーティスト活動に専念する中、太陽さんは、新しい道を切り開くことにしました。
【ライスボール 太陽さん】
「ライスボールは続けて行こうと思っていて、その傍らで、保育園で働こうと思っております」
小学４年生から事務所に所属していた太陽さん。音楽以外の世界も経験したいという思いが、人一倍強くありました。
【ライスボール 実土里さん】
「なんか太陽って、やっぱりこの事務所で誰もやっていない新しいことに挑戦するのがすごく好きな人だと思っていて。去年から始めたお笑い芸人っていう道を合わせたら本当に『３足のわらじ』って言っても過言ではないくらい」
【ライスボール 水愛さん】
「踏み入れる、という挑戦がすごいなって、まず思った」
太陽さん、いよいよ初出勤です。
（Ｑ．どんな気持ちですか？）「ドキドキです」
太陽さんが勤務するのは、生まれ故郷、西目屋村にある保育園です。自ら、ここで働かせてほしいと直談判しました。
（書類にハンコを押して）「はい、職員になりました。よろしくお願いします」
歓迎したのは、山内久子園長。
【山内久子園長】
「え～！？って。その子（太陽さん）は、ミュージックの方で活躍していたのも分かっていたし…」
「『絶対西目屋で、地元で働きたいんです』っていう意志が強くて、じゃあ！っていう感じで（笑）」
２０２２年からは、村が任命する「にしめやＰＲガールズ」を務めているライスボール。２０２３年にリリースした、白神山地世界自然遺産登録３０周年イメージソング「Ｒｅｌａｙ」は、お昼の村内放送に採用されている他、メンバーの等身大パネルが、月ごとに展示場所を変えて、村民や訪れる人を出迎えています。
【山内園長】
「こんなに希望を持って、音楽に特化して、踊りに特化してやっている子なんだけど、こういう所からでも、いろんな青森県のことを発信できるんだなっていう意識は根付くと思います」
この日、全園児の前に立った、太陽さん。
「ひかりと言います。ひかり先生って呼んでください。よろしくお願いします」「よろしくお願いします」
４・５歳児クラスの副担任を任されました。月に２０日は保育園で勤務し、残りの時間をライスボールの活動に充てます。
【保育園の先生】
「ひかり先生、実は保育園で働くんだけど、その他にどっかで見たことあるよっていう人いない？」
【園児】
「はい！」「ふゆみ先生」 ※こける先生
太陽さんが、子どもたちと接する仕事を選んだ背景には、自身の経験による、ある思いがあります。
【太陽さん】
「私、父子家庭で育ってきたんですけど、お母さんに話すのと、お父さんに話すのって、ちょっと違う感覚じゃないですか。昔から悩みとかを全部自分で考えちゃう癖があって、そういう時に誰かに話したいってずっと思っていたんですよ」
「自分と同じ悩みを持っている人って多いと思っていて、その話を聞いてあげたいし、我慢しないで、本当に自分のやりたいことを周り気にせずにやっていけたらいいんじゃないかなって思って、その手助けをしたいなって思っています」
ライスボールとしては、１３日のワンマンライブに向けた準備も佳境を迎える中、大きな一歩を踏み出した太陽さん。この先には、さらなる夢を見据えていました。
【太陽さん】
「西目屋村に『子ども食堂』を作ることが最終的な目標だし、あとは西目屋村から、今見ている子とかも音楽とかやりたいって思ったり、あとはアートとか、いろんなことに挑戦する子をまた西目屋から輩出していけたらいいなと思います」
誰も経験したことのない挑戦は苦労も多いと思いますが、保育園での経験をパフォーマンスに生かして、これからもたくさんの人たちに勇気や元気を届けてほしいです。
