2025.12.18(木)

現地を取材する意義

written by 藤原祐輝

12月8日深夜に発生した大きな地震。

青森県八戸市では最大震度6強を観測しました。

私は避難所として開設された八戸市の小学校にむかい、

午前3時すぎと午前4時すぎに中継を担当しました。

避難者の方が3時半ごろに寝息を立てている様子を見て

今がまだ未明であることに気づかされたことを鮮明に覚えています。

深夜の地震だったこともあり、日が経つにつれて被害の全容が少しずつ見えてきました。

地震の2日後には、八戸港のコンテナターミナルを取材。

地割れや段差が複数カ所で発生していて、

地盤地下によって坂道になっているところも。

元々平坦だったということが信じられないような光景でした。

コンテナは数十トンの重さがあり、いまもなお動かせない状態が続いています。

復旧作業も決して簡単ではありません。

地震発生から1週間がたった16日にも八戸市の現状を取材しました。

街中は人の姿も多く、一見普段通りの日常のように見えました。

しかし、目線を上に向ければ、外壁が壊れたり窓ガラスが割れている建物が。

目線を下に落とせば、道路脇にガラスの破片があったり、落下物で壊れたコンクリートがあったりと

地震の爪痕が色濃く残っていました。

そんな中、私は八戸市の「ポストコアビル」に伺いました。

地震発生直後には様々なメディアで窓ガラスの損傷が報じられていて、

私もニュースや中継で当時の建物の様子を確認していました。

行ってみると、窓は補修されていて、復旧は順調なのかなと思いました。

しかし、営業を再開していたビル1階の花屋で話を聞くと、現状はもっと深刻でした。

店長さんに案内され店の中に入っていくと、バックヤードは水漏れの影響でぐちゃぐちゃ。

乾いた泥が散乱し、一部では天井も落ちています。

水漏れにより上の階から滝のように水が降ってきて

地震直後には傘を差しながらなんとか商品を守ったそうです。

そして、現在もこのビルでは水とガスが止まっているそうです。

「花屋にとって命の水がない」

という店長さんの言葉が胸に刺さりました。

そんな中でもいまだにビル周辺のガラス片を掃き掃除したり

自宅から水を持ってきて花屋の営業を行っている様子をみて、復旧を信じ前向く強さを感じました。

大変な状況の中、取材に時間を割いていただいたことに申し訳なさを感じつつ、

改めて現地を取材してよかったなと思いながら夕方のニュースでの放送を終えました。

放送翌日に花屋の店長さんにお礼の連絡をしたところ、

「ニュースを見て、心配だと水を持ってくれた方がいた。

取材に協力して本当に良かった」と伝えられました。

現地の今を知り、ニュースで伝えることの意義を感じた出来事でした。

「八戸港コンテナターミナルのニュース」と

「ポストコアビルのニュース」は下記にURLから見られます。

ぜひご覧ください。

地震によって被害にあわれた皆さんのいち早い復旧・復興を心よりお祈りいたします。

「藤原が行く 八戸市の地震被害(八戸港コンテナターミナル)」

「藤原が行く 地震から1週間(ポストコアビルの花屋)」

アナウンサールーム