【金亀水産 佐藤敏美社長】
「南の魚が、漁師にも分からないような名前の魚が、ちょいちょい入ってくるっていうのを見ているので、海の中が変わってきているのかなっていう不安感はありますね」
青森県むつ市大畑町で定置網漁を行う、金亀水産の佐藤敏美さん。高温による海水温の上昇で、これまで30年の漁師人生で、経験したことのない大打撃を受けています。
【金亀水産 佐藤敏美社長】
「サケは全くの壊滅だ、うん」
佐藤さんの定置網漁では、例年、秋はサケとスルメイカ、春にはサクラマスとヤリイカが漁獲量の9割を占めます。しかし…。
【金亀水産 佐藤敏美社長】
「いつもは(鮭は1日で)1000本とか良い時だと揚がるんだけど、今シーズンは良い時で100本獲った時は1回か2回くらいで、本当に今まで経験したことのないような漁だったですね」
2023年1月末の日本周辺の海面の水温を表した地図です。
東北の太平洋沿岸は緑色で10℃前後、下北半島周辺の海は8℃前後となっています。
では、2024年を見てみると…、黄色い15℃以上のエリアが全体的に北上し、青森周辺の海水温も10℃前後まで上昇しているのが分かります。
魚にとっての「1℃」は、人間にとっての「10℃」に相当するともいわれています。今は、ニシンやヤリイカなどが旬を迎えていますが、海水温が高いため、漁獲量や魚の種類が安定していません。
【金亀水産 佐藤敏美社長】
「全然駄目だな」
「ゴッコ(ホテイウオ)も今の時期は結構入ってたんだよ。それが、何もいなくなってしまった。」
「(今年)1回530箱とったんだよ、ニシン。約2トンなんぼの。それ1回きり。その時若干水温下がったんだ。8℃台まで。そしたら2℃上がって、今10℃くらいだ」
このまま水温が下がらなければ、春に旬を迎えるサクラマスが遡上できず、今後も漁獲量を見込むことが厳しい状態に。
【金亀水産 佐藤敏美社長】
「秋の方は好漁なかったんだけど、春の魚に期待してやっていかなければいけないなって」
「ここ5~6年、7~8年、10年かけて、次の世代につなげていくようなヒントを見つけられれば、何かしら良い方向に向かっていけるのかな」
佐藤さんは、漁業者と研究者が一緒に考えながら、サケが戻ってくる方法を模索していきたいと前を向いています。