
八戸沖で行われている定置網漁。主にサケやブリを狙ったものですが、網に掛かっているのは、クロマグロ。
大漁に漁業者たちは喜んでいるのかと思いきや、網から外して海へと逃がしています。
【八戸市南浜漁協所属漁業者 石井清一さん】
「今までに経験がないくらい一気に(クロマグロが)網に入られてしまって、ブリとかサケを取るような、そっち専用の網だからマグロにあまり対応していないのですよ。弱い部分が裂けてしまって」
近年、乱獲されたことにより激減した太平洋のクロマグロ。資源回復のため、国際的な規制のもと漁獲枠が定められていてその枠を超えると水揚げができません。
「八戸市南浜漁協」に割り振られた漁獲枠は、2025年4月現在、大型のもので0.57トン。100キロ級以上にもなるクロマグロは3匹ほどで枠が埋まり、それ以上取れたとしても放流せざるを得ませんでした。
5月中旬以降には、100キロ級のクロマグロが多数網に入ったため定置網が破損、被害額は350万円ほどに上ったということです。
【八戸市南浜漁協所属漁業者 石井清一さん】
「本来であれば取って売れる魚ではあるのだけれど(漁獲)規制が掛かっているおかげで市場に出せない」
7月、規制基準が見直されたことから、「八戸市南浜漁協」では、漁獲枠が大型で1.89トンと3倍以上に増えました。
【八戸市南浜漁協所属漁業者 石井清一さん】
(Q.クロマグロの漁獲枠は十分か)「いや~十分とはいえないです」
「5月に放流したの(クロマグロ)を見れば、何十トンと放流しているので、できればもうちょっと欲しいなというのもある」
こうした事態に八戸市の熊谷市長は。
【八戸市 熊谷市長】
「当市におきましても、クロマグロが定置網に入り込み網などの漁具に被害が生じているが漁獲制限が設けられているため、網の外に放流する作業が必要になっているのは承知しています」
「現時点で市独自の支援策は考えておりませんが、国等の支援策の周知に努め、漁業者を支援してまいります」
青森県漁連では、クロマグロによる定置網などへの被害の実態について県全体の取りまとめ作業を急いでいます。