青森県五所川原市出身で新入幕の尊富士が110年ぶりに歴史を塗り変えました。優勝に王手をかけた23日の14日目から、偉業達成までの2日間を振り返ります。
【尊富士】
「僕も人間なので甘える部分もたくさんありますし、正直相撲は好きじゃないですし」
「でもやっぱり応援してくれる人のために、こうして大けがしても続けられるので、だからそれが僕の相撲にとっての幸せ」
優勝が目前に迫っていた23日の14日目。
【つがる旭富士ジュニアクラブ 越後谷清彦総監督】
「焦るなよ、焦るなよ」
「いけいけいけ!」「あー!!」
【尊富士】
(Q.優勝を意識したのは?)「14日目(23日)くらいからじゃないですか」
「(優勝を)とても意識しましたね」
車椅子で運ばれる尊富士の姿に静まり返る応援団。
【尊富士の母 石岡桃子さん】
「まさか・・・学生時代のけががよみがえってきて。心配です」
【つがる旭富士ジュニアクラブ 越後谷清彦総監督】
「救急車で行ったということになれば、あすは出てほしくない、今は優勝するチャンスがあったけれども、今よりもまだまだ先があるので」
そして迎えた千秋楽。
【工藤記者リポート】
「尊富士の地元、五所川原市です。泣いても笑っても最後。きょうの大一番に会場は緊張の面持ちです」
五所川原市役所のパブリックビューイング会場では、集まった人たちが心配そうに見守ります。
【尊富士の祖母 工藤洋子さん】
「きょうは絶対無理かなと思って、休場だと思って諦めていたのですけれども、途中で電話を娘(尊富士の母)からもらって、なんか取るみたいだということだったので、最後の応援と思って来ました」
さらに、応援はこちらでも。
【大熊記者リポート】
「尊富士関が育った相撲クラブの関係者を中心に50人近くが集まりました。110年ぶりの新入幕優勝へその歴史的瞬間を待ちます」
つがる市の相撲クラブ、つがる旭富士ジュニアクラブが開いたパブリックビューイングでは、尊富士の恩師、越後谷清彦総監督が見守ります。
【尊富士】
「正直歩けないには変わりないじゃないですか。実質痛いには変わりないので。でも、自分で言った以上、土俵に恥ずかしい姿をあまり見せるものじゃないですけれども、見せてもおかしくない状況なので」
「でも俺は気持ちで絶対負けたくなかったですし、ここまでやってきたことが意味がなくなる。自分の中では出ないより、出た方が今後の相撲人生が大きく変わってくると思ったので気合で出ました」
負傷した右足にはテーピング。対するは豪ノ山。
「はっけよーい!のこった、のこった」
【尊富士の祖父母】
「いけ!頑張れ!」
「わー!!!」(勝負が決まり、盛り上がる会場)
1914年以来110年ぶり。尊富士が新入幕で優勝を決めました。
【尊富士の祖母・工藤洋子さん】
「立派だ、ありがとう。おめでとうというよりありがとうと言いたいですよね」
【尊富士の祖父・工藤弘美さん】
「まさか優勝できると思わなかったから…もう涙出てしょうがないです」
【つがる旭富士ジュニアクラブ 越後谷清彦総監督】
「足のことばっかり心配したけれども、良い相撲取ったので良かったです」
「記録よりも記憶に残るようにって、私はいつも言っているので、皆に好かれるような、愛されるような力士にはなってほしいなと思います」
青森県出身力士の優勝は、1997年の大関・貴ノ浪以来、27年ぶりとなりました。
【見ていた人】
「胸が熱くなるような。来場所も楽しみなのですけれども、まずはけがを治していただきたい」
「本当に優勝してうれしいです。五所川原の誇りです」
「僕も将来あんなふうに強くなりたいです」
尊富士が110年ぶりの新入幕優勝 地元で見守った祖父母「涙出てしょうがない」「記憶に残った相撲になってる」