青森市の県立保健大学は、高齢者の運動についての研究をしています。研究に当たって貴重なデータを提供したのは、93歳のスーパーアスリートでした。
【田中博男さん】
「えーと、93歳ですね」「この調子で少なくとも95歳まではたどり着きたいと思っております」
2023年3月の世界マスターズ室内陸上選手権。田中さんは90歳から94歳のM90クラス、200メートルで圧巻の走りで優勝し、世界記録を更新。2023年11月のアジアマスターズ陸上競技選手権でも3種目で金メダルを獲得しました。
そんな田中さんが県立保健大学で、測定用のカメラに取り囲まれています。
【田中博男さん】
「高齢者の生活・スポーツ、そういったものに対して一定のアドバイスみたいなものができるのであれば、大いに私を材料にしてと喜んで対応しているところです」
田中さんは、歩いて、走って、その動作のフォームや関節への負荷などを計測。そこから分かってきたことは?
【県立保健大学 篠原博教授】
「膝関節の使い方というところでは加齢などいろんなこともあり、少しだけ曲げながら使うというか、そういう歩き方・走り方をするのですけれども、それにも関わらず股関節がものすごく若い方・アスリートと同じようにしっかり使えているというところが田中さんのとても活動的で、早く走れるところのポイントではないかなと思います」
そんな田中さんのルーティンは。
【田中博男さん】
「週平均6日くらいは、午前10時ごろから1時間か1時間半くらいストレッチ、それからジョギング」
時速8キロで全力ダッシュ。
「・・・きつい」(笑顔)
測定会は、まだ終わりません。続いては外のグラウンドへ。この日の青森市の最高気温は28.4℃。全力疾走の時、どのように体が動いているかの測定です。
田中さんが取り出したのは・・・
【田中博男さん】
(Q.スパイクで気持ちに変化は?)
「ありますね、スパイクを履いているのと、履いていないのとでは全然気分が違います。あはははは」
(くれぐれも無理はしないように)「はい!はい!適当にやります」
「適当に」と言ってはいたものの・・・
30メートル余りを3回にわたって全力で走り切った田中さん。大学では今回得られたデータを詳しく分析し、県内の体操教室などで、体の使い方の見本として紹介する予定です。
【田中博男さん】
(Q.どんな存在になりたい?)「高齢であっても、やろうと思えばこんなこともできるぞと、こんな人もいるぞと。そこから個々の方々のご自分の体力だとか気力に合わせながら、無理しないように健康が長続きをする人生を送ってもらえれば、それがあればプラスになるものがたくさんあるのかなと思っています」
田中さんは、7月6日に行われる県民スポレク祭マスターズ陸上でM90の100メートル、200メートル、400メートルに出場予定です。