Jリーグを昇格を目指す「ブランデュー弘前」。
Jリーグへの道を阻んでいるのが、世界一過酷な昇格戦。
そう呼ばれているのが、地域CL=全国地域チャンピオンズリーグ。
東北1部リーグからJリーグの手前に位置するJFLに昇格するためには、この地域CLで2位以内に入らなくてはいけません。
2024年の大会スケジュールの1次ラウンドは3日間で3試合。そこを通過すると、中1日で3試合を行う5日間の決勝ラウンドが待ち受けます。
通常のリーグ戦は1週間に1試合ということを考えると、かなり過酷なスケジュールです。
弘前は、これまで地域CLに5回挑戦するも、すべて1次ラウンドで敗退しています。
そこで、今シーズンから選手たちを食事面でサポートする取り組みが始まりました。
サポートするのは、柴田学園大学の健康栄養学科。希望する選手9人に、朝食と夕食を提供しています。
【ブランデュー弘前 西澤雄貴社長】
「その3日間だけ、選手のコンディションの気を遣っていてもいけないなということで、2025年から年間を通じて食事の面でいろいろサポートしていきたいと思っています」
【柴田学園大学健康栄養学科 佐藤瑞穂助教】
「今回は、タンパク質とエネルギーが取れるような食事を提供しようというところで」
今回は鶏肉やサバを中心に朝と夜、2週間分の食事をパウチし、冷凍した形で選手に渡します。
4月2日は、健康栄養学科の4年生13人が調理にあたりました。
地域リーグでは、働きながらプレーする選手がほとんど。選手たちにとって学生たちの存在が大きな支えとなります。
【柴田学園大学健康栄養学科 佐藤瑞穂助教】
「仕事をしているうえで、自分の食事をなかなか準備できていないのが現状で、去年の食事を調査すると、朝とか夜とかきちんと食べていなくて、夏場の体重減少があったことが分かってきました」
昨シーズンの選手たちの体重を表したグラフです。シーズン序盤から夏にかけて体重が減り、その体重が戻らないまま昇格をかけた地域CLに臨んでいました。
【柴田学園大学健康栄養学科 佐藤瑞穂助教】
「体重が減少してしまうと、サッカーは90分間走り続けないといけないスポーツなので、なかなかそこが走り続けられない、いわゆるスタミナが切れてしまうのにつながってしまうかなと考えています」
今シーズン、弘前に新加入した寺尾海星選手。柴田学園大学から食事のサポートを受けている選手の1人です。食べる時はおかずを電子レンジで温め皿に盛り付けるだけ。
【ブランデュー弘前 寺尾海星選手】
「解凍するだけなので、自分は食べる2~3時間前に冷凍庫から出して、あとはレンジでチンするだけなので、すぐ食べられます」
「自分も自炊とか全然しなかったので、本当外食とか」
「こういう栄養のある食事が提供されて良かったと思います」
【ブランデュー弘前 西澤雄貴社長】
「そこ(地域CL)で、一番ピークのパフォーマンス出せるようなコンディション管理をしていきたいなと思っています」
「地域と一緒になって地域CL勝ち抜くんだぞという一体感を作っていければと思っています」
アスリートに最低限必要なタンパク質の量を優先したメニューになっています。そんな中の物価高なので、野菜など提供してくれる協力者がいるとより充実したメニューになるのでは、と思います。
J3のヴァンラーレ八戸は、JFL時代の2017年から、午前のトレーニング後の昼食を選手たちに提供し始め、翌シーズンにJ3昇格を決めました。
食事面のサポートは見えづらいのですが、大切な要素の1つではないかと思います。
まずは地域CLの出場枠を獲得しなくてはいけませんが、一番シンプルな方法は東北社会人1部リーグで優勝することです。
リーグ戦のホーム開幕戦は13日。弘前市運動公園球技場で午後1時キックオフとなっています。