「それでは東北新幹線新青森開業です、どうぞ!」
2010年12月4日の東北新幹線全線開業から15年。
開業当時、ほとんどが更地だった新青森駅周辺の土地は、青森市の土地区画整理事業により、多くの住宅が立ち並ぶなど整備が進められてきました。
なかでも新青森駅を挟んで東西に位置する土地は「一般保留地」と呼ばれ、開業前の2007年度から青森市が民間企業向けに販売。
市民からはさまざまな土地利用が期待されましたがリーマンショック開業翌年の東日本大震災、さらにはコロナ禍といった様々な影響で売れ残り、新幹線駅周辺に空き地が広がる状態となっていました。
しかし、2019年にはホテルが開業するなど、一般保留地の空きは徐々に減っていき、18区画あった一般保留地は開業から12年が経った2022年12月に完売しました。
この間、青森市では仲介者に対してあっせん料を払う制度や、固定資産税相当額や契約額の一部を助成するといった販売促進策を行ってきました。
【青森市都市政策課 武田泰孝課長】
「中心市街地との役割分担を基本として、新青森駅に降り立った観光客の方々などを、本市のにぎわいの拠点である青森駅周辺などの中心市街地に誘客を図るという方針のもとにまちづくりを進めてきたところであります」
青森市では新青森駅周辺地区を「広域交流の玄関口」、「交通結節機能に特化した役割」と位置付け、整備を進めてきました。
実際、去年10月に市中心市街地活性化協議会が行った調査では、青森駅ビル「ラビナ前」の通行量が昨年度に比べ、平日で134%、休日で204%と増加しました。
調査した21地点全体でもコロナ禍以前の2019年度の実績を上回る結果となっています。
また、中心部では地価も上昇傾向で、1平方メートル当たりの地価が2013年以来の20万円超えとなった場所もあります。
市では、新青森駅周辺の整備事業がこうした中心部のにぎわいにつながっていると捉えています。
【青森市都市政策課 武田泰孝課長】
「今年で東北新幹線開業15周年を迎えまして、市全体としてまちづくりが着実に進んでいるものと考えております」
新幹線関連の問題に詳しい青森大学の櫛引素夫教授も新幹線駅の周辺が必ずしもにぎわう必要はないと話します。
【青森大学 櫛引素夫教授】
「新幹線の駅前には立派な街並みがあって見栄えがする景観が要るという発想から逃げられなくて、未だにどうしたらいいか分からないというイメージがすごく強いですよね」「新幹線の駅前は見栄えがする、都会でなきゃだめだという思い込みからどう自由になるかが、青森に限らず全国的な未来に向けての宿題になると考えています」
櫛引教授は、新青森駅には別の役割が必要だと主張します。
【青森大学 櫛引素夫教授】
「不特定多数の、顔が見えない観光客が行き来するためのゲートウェイではなく、私たちが持続可能な地域社会を作るための拠点としてのゲートウェイでなければならないと」
その一例として挙げたのが2017年に開業した青森新都市病院。新青森駅西口から徒歩3分の位置にあるこちらの病院では、医師が新幹線を利用して北海道函館市の姉妹病院と、行き来することで、利便性を高めています。
【青森大学 櫛引素夫教授】
「限られた人数で地域医療を支えなければいけない医師たちが新幹線をフルに活用できる環境、これから青森どころか日本の将来の鍵を握る存在です」「人口が減って厳しい環境のなかで生きていく知恵を絞りきるときの1つのキーワード・拠点として新幹線・新青森駅はまだまだ使い入れがあるはずなんですよ」
今後、新青森駅周辺に求められる役割とは。地域全体で模索していく必要がありそうです。
新青森駅といえば、今年は西口駐車場の混雑についても話題になりましたよね。
これまで大型連休や年末年始といった時期になると、西口駐車場前は、送迎で訪れる車や立体駐車場を利用する車などで渋滞し、長い列ができていました。
新幹線の時間が迫っているのに駐車場に止められなくてハラハラした、なんて話も聞きますよね。
こうした状況を受け、青森市は混雑の解消に向けても動き始めています。
先月29日と30日の土日2日間、混雑緩和に向けた社会実験が行われました。これまでは駐車場に入るルートと乗降場へ入るルートの入り口が同じでしたが、社会実験では入り口を分けて、さらに乗降場を「降車専用」にする運用を試験的に行いました。
材市の道路維持課によりますと、29日土曜日は午前8時半ごろから午後5時ごろまで立体駐車場が満車になり、空きを待つ車の列ができる時間帯があった一方、乗降場の方はスムーズに流れていたため、一定の効果はあったとしていました。
市では今後、利用者アンケートの結果なども踏まえて運用を検討していくということです。
リーズ、東北新幹線全線開業15周年担当は木邨さんでした。













