所どころに、はげた塗装や傷の跡。1945年、広島市内の爆心地の住宅内にあったピアノです。この「被爆ピアノ」とともに日本全国や海外を回り、「平和の大切さ」を呼び掛けているのが、広島市の調律師・矢川光則さんです。
【ひろしま被爆ピアノ管理所有者 矢川光則さん】
「私にとっては被爆ピアノとの出会い、それが平和に対して一歩考える大きなきっかけになっていったということなんですね」
16日は、青森市の浦町中学校の合唱部の生徒たちが、「被爆ピアノ」の奏でる伴奏で合唱を披露しました。
また、同じく生徒によるピアノ演奏が披露され、訪れたおよそ200人の人たちが、その音色に聞き入っていました。
【浦町中学校1年 武田晏さん】
「弾きづらいところもあったり、ペダルがうまく効かないところもあったんですけど、受け継がれてきたものを感謝の思いを込めて弾くことができました」
【浦町中学校3年 小山内カエラさん】
「当時の傷がたくさんあるので演奏中も見えるので、そのことをずっと考えながら弾きました」
この後、浦町中学校の職員よるバイオリンとピアノのアンサンブル。第二部では、ピアニストの黒瀧浩さんの演奏と、舞踏家の福士正一さんによるパフォーマンスが披露されました。
【ひろしま被爆ピアノ管理所有者 矢川光則さん】
「80年というのは一つの節目であって、こういう記憶はずっと継いでいかなければいけないと思うんですね。私もそう若くないのでこの重いピアノを抱えてトラックのハンドルを握って全国を回るというのは、いずれは限りがくると思うんですけれども、気持ちとしてはまだまだ、来年も再来年もやっていくつもりです」
「被爆ピアノ平和コンサート」は、17日は青森市の浦町中学校と三内小学校で一般向けには、18日午前10時半から青森市役所本庁舎1階で、午後4時半から青森市の正覚寺で開かれます。入場は無料です。