こんばんは。きょうから4回シリーズで、新幹線や新青森駅に関する特集をお伝えします。1回目はこちら。レールの交換作業です。スピーディーさとち密東北新幹線は2010年の全線開業からあさってで15年を迎えます。ここからは木邨さんです。
こんばんは。きょうから4回シリーズで、新幹線や新青森駅に関する特集をお伝えします。1回目はこちら。レールの交換作業です。スピーディーさと緻密さが求められる作業でした。
【木邨将太アナウンサー】
「現在時刻は午後10時を回ったところです。この後新青森駅に到着する下りの新幹線は2本。最終の新幹線が到着した後、作業が始まります」
開業から間もなく15年を迎える東北新幹線の八戸・新青森間。上下合わせると毎日40本以上の定期列車が走っています。
この区間の最高時速は260キロ。今回はその高速走行を支える、レールの安全を守る作業に密着します。
午後11時半前。新青森駅からほど近い場所に保線業務を行う関係会社の社員15人ほどが集まりました。
【作業前点呼の様子】
「事業に関連する車両、来ます。見張り、ちゃんと人払いしてください」「注意確認しっかり行って、障害事故防止図っていきましょう。よろしくお願いします」
午後11時36分に新青森駅に到着する下りの最終列車が通り過ぎると作業開始です。
【木邨将太アナウンサー】
「保守用の階段を上がって新幹線の線路へと出てきました。普段なかなか入ることができない場所ですね。最終の新幹線が通ってからまだ30分も経っていません。もう、あちらの方では作業が始まっています」
作業は始発列車が走るまでの早朝にかけて行われます。この日の終了予定時刻は午前4時半。時間との勝負です。
【仙建工業 青森新幹線出張所 金ヶ崎健二さん】
「各工程ごとに時間配分を考えながら遅れが無いよう進捗管理をしております」
交換するレールをあらかじめ線路脇に運んでおくといった作業を効率よく進めるための準備も欠かせません。
今回交換するのは定期的な検査で細かい傷が見つかった部分。複数のレールを溶接した915メートルのロングレールのうち、およそ25メートルを切断して新しいものと取り替えます。
切断作業を始める前にまず「レール緊張器」と呼ばれる器具を取り付けます。この「レール緊張器」、特に冷え込みの強まる時期の交換作業において欠かせないものなんです。
レールの設置や交換を行うにあたって気を遣うポイントの一つが寒暖差。
【東日本青森新幹線保線技術センター 田村大輔所長】
「やっぱりレールは鉄で出来てますので、暑くなると伸びますし、寒くなると縮みます。その伸縮も計算したうえでレールの長さですとか強度を計算して建設されています」
長さ1キロのレールの場合、温度が10度上がると10センチ以上伸びるといったデータもあります。もし温度が低い状態でレールを設置してしまうと気温が上がる夏などに膨張しゆがんでしまう可能性も。
【木邨将太アナウンサー】
「今行われている作業はレールを実際に切断する前に寒さで少しレールが縮まっている状態なので、それを正常な、適正な長さまで引っ張る作業をこちらのシリンダーで圧力をかけて行っています」
レール緊張器を使うことで、レールが基準となる温度(22℃)の時の長さまで伸びた状態に。そうすることで、交換後も寒暖差の影響を受けにくくなります。
こうして準備を整えた後、いよいよレールの切断へ。使うのはレール専用の切断機です。
切断されたレールは「レール山越機(やまごしき)」という装置を使いすぐに移動され、新しいレールを設置します。
レールの重さはおよそ25メートルで1.5トンほど、山越機(やまごしき)を使うことで数人でも移動可能に。
そして、新しいレールは専門の業者によって溶接され、再び長さ915メートルのロングレールとなります。
ロングレールの中には1本の長さが10キロを超えるものも多いそうです。
【東日本青森新幹線保線技術センター 田村大輔所長】
「列車が高速で走行する新幹線では、在来線のようにレールに継ぎ目がありますと、騒音とか振動でお客様の乗り心地ですとか沿線の環境に悪影響を及ぼしますので溶接して継ぎ目のないようにしております」
ちなみに日本で一番長いロングレールは東北新幹線のいわて沼宮内(ぬまくない)・八戸間に設置されたもの。(岩手県の岩手町(いわてまち)から八戸市にかけて)1本のレールの長さがなんと60.4キロもあるんです」
段差がないよう、レールの表面を整えていきます。
【木邨将太アナウンサー】
「銀色の部分からこちら側が今までのレール、そして、こちら側が新しく設置したレールになります。表面きれいに削られていて、一見するとここでレールが分かれてたようには見えません」
もちろん、溶接して終わりではありません。超音波を使い、溶接した部分に異常がないかを調べるほか、前後の区間も含め、レールの幅や高さに問題がないかなどを確認します。
時間制限もある中、ミリ単位の精度が求められる作業は最後まで気が抜けません。
安全が確認され、すべての作業が終わったのは午前4時半、予定通りに終了しました。
新幹線の安全・安心を守る作業は私たちが寝ている間に、こうして行われています。
【仙建工業 青森新幹線出張所 金ヶ崎健二さん】
「我々の作業が新幹線の安定輸送を支え、利用されるお客様の旅の思い出の一助になればと思うと、とてもやりがいがあります」
作業が終わってから、まだ2時間も経っていない午前6時18分。東京行きの始発列車が新青森駅を出発し、1日の運行が始まります。
青森と首都圏とを結ぶ新幹線はきょうも多くの人たちに支えられて走ります。
本当に貴重な作業の様子を見せていただきました。
特別に線路場に入らせていただきました。
レールが温度によって伸び縮みするってことは全く知らなかったので、レールの安全を守るために本当に様々な技術が使われているんですね。
また、新幹線自体のスピードアップも今後予定されてるんですよね。
そうですね。車両というより線路の関係なんですけれども、現在最高時速が 260km となっている盛岡と新青森駅間。いわゆる整備新幹線区間なんですけれども、正確な時期はまだ決まってないんですが今後ここの最高時速が 320km に引き上げられる予定となっています。
今それに向けて、防音壁、壁などの工事などが行われているということなんですね。
ちなみに 320km に引き上げられますと、所要時間がおよそ 5 分短縮になる見込みだということなんですね。
JR の担当者は速度が上がっても快適に利用してもらえるよう、今まで以上に乗り心地を意識して線路の保守管理を行っていきたいと話していました。皆さん、深夜のなか、大変な作業なんですけれども、体に気をつけて頑張って欲しいなと思います。
新幹線企画2回目のあすは青森市にある本州最北の車両基地についてお伝えします。














