そこには母への感謝がありました。
「卒業証書、小山内龍弥」
小山内龍弥さん、18歳。治療法のない難病を患っています。
この日、卒業を迎えた龍弥さん。共に病気と向き合ってきた母・美和子さんへの思いがありました。
龍弥さんの病気は10万人に1人といわれる希少性の難病、毛細血管拡張性運動失調症、通称A-T。
A-Tは、国の指定難病で治療法はありません。遺伝子の異常によって発症する病気で目は充血し、疲れやすくなります。
先生)助けます?
龍弥)help me
先生)help me
病気が進行すると、ふらつきがみられ、字を書くことやうまく話すことが難しくなります。さらに、歩くことだけでなく、立っていることすらままなりません。
5歳の頃の龍弥さん。健常者と変わらず歩き、雪山を元気に駆け上がりました。
しかし、年を重ねるごとに病気の症状は進み、車椅子での生活を余儀なくされました。
さらに、
【龍弥さんの母親、小山内美和子さん】
「人の4分の1しか生きられない・・・ごめんね。だから、人の4倍の速さでいろんなことを経験させてあげたいなと思っています」
11歳の時に初めて難病であることを直接伝えられました。
【医者】
「目が白目の所が少し赤くなっちゃって動くとふらふらしちゃうという病気なんだよね、これ生まれつきの病気なんだ。この先どうなるのか、なかなかすぐには治らないと思うんだ龍弥君の病気は。今すぐピタッと薬を飲んだら治るというのはなかなか難しいのかなと思います」
【美和子さん】
「だから皆で研究して治療法を見つけて薬を作ろうってやってるから」
10歳の時の龍弥さん。
【龍弥さん】
(Q.病気が治ったら、何をしてみたい)「走りたい」
18歳になった龍弥さんに再び聞きました。
【龍弥さん】
「今の夢。歩く」
(Q.走りたいじゃないんだ)「歩けたら走りたい」
【青森第一高等養護学校 石田佳子教諭】
「新しい時代を作るのは」
【龍弥さん】
「Me」
【青森第一高等養護学校 石田佳子教諭】
「You、きょうは新時代の新を書きましょう」
最後の学生生活で没頭していたのは書道。
【青森第一高等養護学校 石田佳子教諭】
「ほらいい線だ、さぁそのまま行くよ太く行くよ」
病気の影響で細かい字を書くことは難しくなりました。それでも視点を変え、太い筆を持ち、腕を使うことで、自分ならではの文字を書けるという気づきがありました。
東京で開かれた美術展。
障害を抱える子どもから大人まで800点以上が出品される中、龍弥さんの”新”が最高の賞の一つ文部科学大臣賞に選ばれました。
【常陸宮妃華子さま】
「美しい。おはようございます」
【龍弥さん】
「おはようございます」
【常陸宮妃華子さま】
「これは相当太い筆で書くんでしょうね」
【龍弥さん】
「はい」
【常陸宮妃華子さま】
「何枚くらい書きました?」
【龍弥さん】
「何枚くらい、10枚くらい」
【審査員】
「ここに選ばれてここに来るのが、本当に大変だと思うんですよね。墨流が豊かで余白の使い方が上手ということで文部科学大臣賞に選ばれました」
【常陸宮妃華子さま】
「これからも良い作品をたくさん作ってください。来年も応募して」
【龍弥さん】
「はい」
【美和子さん】
「細かい字を書くのは苦手ということで書道を始めたけど、まさかここまで、負けていない、強い子に育ったなと。何か感謝の気持ちか」
【龍弥さん】
「やれることあったらやればいいと思う。書きたくても、書けない人もいるじゃん」
【卒業式】
【龍弥さん】
「(拍手)ママへ高校に通わせてくれてありがとう。この3年間で龍弥は大きくなったと思う。ママはどう思う? ママとの毎日は幸せでした。感謝しています。自分の力で働いて頑張って給料をもらいます。ママに困ったことがあったらいつでも相談に乗るよ。そんな社会人になりたいです。龍弥より」
【美和子さん】
「こんなに立派な文章書けるようになって。すごい成長した3年間だなと」
龍弥さんは就労支援施設で働きながら書道を続けます。















