業者との契約方法などから今後の除排雪体制のあり方の方向性を探りました。
記録的な大雪となった青森市。1月中旬からは寒波の影響で雪が降り続くと、一部の生活道路では1カ月以上除排雪が入らず、日常生活は混乱をきたしました。
危機管理や防災の専門家は、この状況をどう見たのでしょうか。
【青森中央学院大学 大泉常長教授】
「市の行政に関わる危機管理の失敗ではないかと言う認識をしております」「昨シーズンの教訓があまり生きていないような、そしてその後の豪雪に見舞われた後の後手後手の対応を見ていましても、準備がなされていなかったのではなかったと懐疑的にならざるを得ない状況」
大泉教授が指摘した問題点は主に2つです。
1つは除排雪業者との契約方法といった構造的問題。
青森市内の除排雪は、道路によって「幹線道路」と「生活道路」の大きく2種類に分かれています。
幹線道路はバス路線や地域の主要道路が含まれ、契約方法は「単価契約」。路線ごとに業者へ委託し、作業時間に応じて報酬が支払われます。
一方、住宅街などの生活道路の契約は「シーズン契約」。
工区と呼ばれるエリアごとに業者へ委託し、年間の累積降雪量が基準を上回ると契約額を増額、下回ると減額となります。作業回数や時間は関係ありません。
今シーズン、市内の生活道路170工区の除排雪の委託を受けたのは98社。必然的に、1社が複数の工区を掛け持ちすることになります。
さらに…
【除排雪を請け負う業者】
「市役所の業者が県の業者も入ってるので、県が優先的になる、実際」「(県と市の業者を)分ければ良いという感じだが、そうなれば業者いない、人がいない」
生活道路に除排雪が入らない理由の一端が見えました。
「シーズン契約」の場合、今回のように短期間での大雪で繰り返し出動すれば、その分、燃料費や人件費、車体の修理費などがかさみますが、報酬は基準額にあくまでも累積降雪量をもとにした上乗せ分と決まっています。
【除排雪を請け負う業者】
「うちは補助幹線やってるから、単価契約のやつがあるからとんとんかな、あと民間の除雪をやってるので。ギリギリかなっていう感じ。ただ生活道路だけしかもってないところは冗談でないってなると思う」
取材した業者が担当する2つの工区では累積降雪量が400センチの場合の基準額は合わせて2000万円ほど。
大型の重機1台の価格は新車で2700万円、中古でも1000万円以上かかるといいます。
利益が出なければ、設備投資もままならない状況です。実際に、今シーズンの契約途中で除排雪業をやめた業者もいたといいます。
大泉教授が指摘する2つ目の問題は、市と市民のコミュニケーション不足です。
【青森中央学院大学 大泉常長教授】
「今シーズンの青森市においては、いつまで経ってもやってこない、自分は見捨てられたという、誰が悪いのかという矛先をどこに向けるかというストレスが蓄積してしまった状況なのかなと思う」「市は出動要請をしているけれども現場が動いていない、責任の押し付け合いを白昼堂々市民に向けられるというのは、ある種異常な状況ではなかろうかと」
常に適切な情報発信をすることが市民の安心につながります。 経費の側面からも見てみます。
青森市の除排雪経費は、過去10年間で最も少ない2019年度はおよそ18億1000万円、大雪となった昨年度はおよそ73億3900万円です。
市民1人当たりでみると2019年は6400円、昨年度は2万7700円と、4倍近く差があります。
今シーズンの除排雪経費は、いまの市議会定例会に提案されたおよそ40億円の追加分を含めると、過去最大規模の71億円余りとなる見込みです。
豪雪都市青森で今後も安全安心に暮らせる街であるために。「想定外」の大雪。そんな言葉で終わらせてはなりません。
【除排雪を請け負う業者】
「今回良い機会だから本当に見直さないと、8年後10年後、僕らが自分たちの子どもに「雪は降るけどちゃんと暮らしていけるよ」と言える町にしないと」
【青森中央学院大学 大泉常長教授】
「若い人たちは近い将来、進路、就職、進学といったところでさまざまな選択を強いられる。その際に今回目の当たりにした悲劇的な状況を受けてでも本県に残りたい、青森市のために頑張りたいと思ってもらえるかどうか、むしろ思ってもらえるような市を作る。これがこれから課せられた我々への課題ではなかろうかと感じます」
長年青森市に住んでいる方でさえも、今回の大雪で青森市を離れてしまったという人もいるということを聞いています。それだけこの大雪の問題、除雪の問題というのは今後の人口減少対策にも通じるものがあるんじゃないかなと思いますよね。取材を通じてどのように感じましたか?
【赤平春菜記者】
はい。今回、市、業者、市民など様々な立場の意見を聞いたんですけれども、それぞれに主張がありますが、目指す方向は「冬に快適に過ごせる街に」という点で同じなのではないでしょうかと感じました。 また、今後の体制は行政だけでなく全体で一緒に考えていかなければならない問題だと強く感じました。
除排雪が入ったとなっているのに、実際は入っていないというような市民の声も多く聞かれましたけども、こういったギャップはどのようにして生まれているんでしょうか。
【赤平春菜記者】
取材だけではちょっとそこは複雑な問題がありまして、いろんな問題が絡んでいるかとは思うんですけれども、業者からは、除雪の質に業者によって差が出た、ばらつきが出たという実情はあったようです。
VTRにもありましたけれども、除排雪をやめてしまう業者が出てくると、この除排雪業者の確保や育成というのが急務に思えてきますよね。
【赤平春菜記者】
今回取材をしまして、今後の除排雪についてこのような提案、そして要望が聞かれました。こちら一例になるんですけれども。 まずは除排雪費用を増やすこと。そしてオペレーターという、重機の操作をする人材の育成。さらに雪捨て場を増やすこと。街自体をロックダウンして日中から集中的に除排雪を実施する、こういった意見が出ました。
今後は、来シーズンに向けた市の除雪の検証というのも始まっていきますよね。
【赤平春菜記者】
西市長は今日の青森市議会の定例会一般質問で、今後の除排雪体制については抜本的な見直しに向けて検討をしていくと話しています。今後どのように変わるのか注目していきたいと思います。
2シーズン連続の大雪から得た教訓が、次こそは生きたと言えるように丁寧な検証を今後期待したいと思います















