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最低賃金時給1090円に引き上げの意義は 地域格差の解消を目指す企業も

2026.10.29(木) 18:45

青森県内の最低賃金は、10月29日、時給1090円に引き上げられました。引き上げの意義と企業の取り組みを取材しました。

時給1090円。これまでより61円アップした青森県内の最低賃金。引き上げ額は過去2番目の大きさです。

ここ数年、最低賃金は急激に上昇し、2025年に初めて1000円の大台を超えました。

大幅な引き上げが企業に与える影響を懸念する声もあります。

そのような中、弘前市にあるこちらの会社では、働き方改革と並行して2014年から従業員の賃上げに取り組んでいます。

【和電工業 藤田あつ志社長】
「平均で3~5%の賃上げを行っていまして、ある社員の例では年間4.3%ずつ改善していて、毎月の家族手当などその他の手当も含め、なおかつ年2回の賞与も業績に応じて充実させていくといった姿勢で取り組んでいます」

賃上げの原資を確保するには、生産性の向上が必須と考え、紙ベースで行っていた作業をデジタル化し、業務の効率化を図っています。

【和電工業 藤田あつ志社長】
「社員全員にスマートフォンを持たせ、アルコールチェックから出勤・退勤までを全部一括して、それが業務日報までつながるようにシステム化して、スマートフォン1つで勤怠管理を一貫して1日のスケジュールを組み込めるような仕組みを導入して、社員たちの日報を整理する手間をなくするとか、改善していっています」

その結果離職率が下がり、社員のモチベーション向上にもつながったといいます。

【社員】
「会社が賃上げしてくれることによって、給料も上がることになりますので、生活も豊かになりますし、生活の質も上がります。そういった意味で、モチベーションの上昇にもつながると思いますので、非常にありがたいことだと感じています」

一方、工事現場で作業にあたる社員は、物価高に応じた手当の改善を求めています。

【社員】
「自分はちょっと遠い五所川原から通っているので、ガソリン代と通勤手当がどんどんかけ離れているところがあるので、そこはちょっと生活に負担が掛かっているところですね」

また建設業界では、より高い賃金を求めて県外に出ていく例も少なくないといいます。

【社員】
「自分も今、生活できなくなる状況になったら県外に行く覚悟もしているので、やっぱり賃金が上がって地元に定着して、人口流出とかも、青森県全体で賃金のベースが上がってくれればいいかなと思います」

こちらの会社では、東京都の最低賃金を超えるレベルの賃上げを目指しています。

【和電工業 藤田あつ志社長】
「もし物価が安いという環境があるのであれば、それは地域ならではの魅力であって、それを賃金に結び付けた指標にすることには違和感を覚えていますので、そこは賃金の最低の部分だけはせめて首都圏レベルで賃金が設定されるように企業側も努めていかないと、人材の確保も今後ますます厳しくなっていくだろうと捉えています」

青森労働局によりますと、今回の改定で県内の中小企業では3割以上の労働者が引き上げの恩恵を受けるとされています。

【青森労働局 角井伸一局長】
「今回の61円引き上げによって、約35.5%の方に影響することが分かっています。具体的な数字では、調査対象となった16万8千人のうち6万人の方が影響することになります」

人口の流出が続く青森県。事業の継続に不可欠な人材を確保するためにも賃上げは重要です。

【青森労働局 角井伸一局長】
「最低賃金が上がることによって、ほかの人たちの賃金も上がりますので、結果的に県内の平均賃金は上がる」
「賃上げをする企業については魅力ある職場になりますので、そうなると結果的に県外流出の問題も、少しは歯止めがかかるのではないかと考えています」

そのうえで、賃金改定の意義は労使双方にとって大きいと強調します。

【青森労働局 角井伸一局長】
「働く方については、この後の給料がしっかり上がっているか確認していただきたいと考えています。企業側にとっては、61円上がるのは大変だと思います。ただこの上がることに関して賃金だけではなくて業務全体を見直していただいて、効率化できるかできないかを含めて考えるきっかけにしていただきたいと考えています」

新たな最低賃金の周知を図ろうと、労働局は自治体にも協力を求めています。

【つがる市 倉光弘昭市長】
「働く人にお金が回っていかないと、可処分所得が増えるようじゃないと、生活も安定しないし地域もにぎわわないし」

つがる市の倉光市長は、行政機関が連携する必要があるとの考えを示しました。

【つがる市  倉光弘昭市長】
「人手不足を解消する手立てにもなりますし、国や県としっかりタッグを組みながら頑張っていきたいと思います」

過去最大となった2025年度に続き、大幅に引き上げられた県内の最低賃金。

経営基盤の弱い中小企業が、物価高に伴うコストの増加を価格に転嫁できる環境をつくることが課題となっています。

今回の最低賃金の改定に関して、県経営者協会のコメントはこちらです。

「県内の企業は、中小企業・小規模事業者が多く、原材料高や労務費の増加などによるコスト増の価格転嫁が十分にできていない」「国に対しては、生産性向上や価格転嫁など事業を継続するための実効性ある各種支援策の策定・拡充と速やかな実行を希望します」としています。
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