最後の一台にかける運行団体とねぶた師・北村蓮明さんの思いとは。
田中大地記者の取材です。
青森ねぶた祭に50回にわたり参加してきたパナソニックねぶた会。今年(2026年)の運行をもって祭りから退くことを決めました。
【パナソニックねぶた会 山崎孝之会長】
「やっぱり寂しい思いもありますしこれからもっとやっていく方法はないのかと役員もみんな頭を悩ませてやってたんですけども」
パナソニックねぶた会は地域の電器店などが中心となって、大型ねぶたの制作・運行を支えてきました。
1980年代に30から40ほどあった加盟店は現在10数店にまで減少。
運行を支える人の確保も厳しく、2026年5月、役員会は出陣終了を決めました。
夜の青森港を進んでいく大型ねぶた。
パナソニックねぶた会の制作を担当するねぶた師・北村蓮明さんにとって今も忘れられない光景です。
【ねぶた師 北村蓮明さん】
「一番印象に残っているのは海上運行、船に乗ったのが一番うれしかった」
蓮明さんが今年(2026年)手がける最後の1台は…。
三国志に登場する怪力の鬼神「典韋」。およそ10年前から構想を練ってきました。
【ねぶた師 北村蓮明さん】
「1回2回は下絵を描いてなかなか構想が決まらないので断念した」
「今回は作っていてワクワク感を感じたな、ワクワクした」
そんな蓮明さんに46年にわたって寄り添ってきた妻の玲子さん。今年(2026年)の一台にかける思いを誰よりも近くで感じています。
【北村玲子さん】
「大型最後になるかも分からない。なので本人はまず悔いのないように、とことん1.5倍かけてます、手間ひまを」
蓮明さんがパナソニックねぶた会の大型ねぶたを初めて担当したのは2010年でした。
このとき団体はねぶた史上初のLED電球を使用して出陣しました。
蓮明さんはこの年、最優秀制作者賞を受賞。
そして、4年後の2014年にも、蓮明さんのねぶたは観光コンベンション協会会長賞を受賞。
自身も団体の船に乗り海上運行に臨んだのです。
【ねぶた師 北村蓮明さん】
「船の上から見て市民の皆さんが見ているっていうのは何とも言えないうれしいこと」
当時運行責任者を務めていた永井幸男さんが思い出を語ってくれました。
【パナソニックねぶた会 永井幸男前会長】
「賞を取ったからうれしくてうれしくて船の中で海上運行で一緒に踊ったり」
「私も涙流したけれども蓮明さんも涙流しながら一緒に喜んだのが一番の良い思い出ですね」
現在、蓮明さんが手がける大型ねぶたは、パナソニックねぶた会の一台のみ。団体の活動終了によって来年以降大型ねぶたを作る場は決まっていません。
【ねぶた師 北村蓮明さん】
「自分としてはねぶたは今無くても依頼があればいつでもつくるというつもり」
「まだまだつくりたいものがいっぱいあるな」
「引退はしない」
【台上げ】
「せーの」
「みんな息合わせてせーの」
16日、最後を締めくくる50回目の出陣を前に、ねぶたの台上げが行われました。「人形が宙に浮いているように見える構図」にこだわったのです。
【ねぶた師 北村蓮明さん】
「台に上がれば分かるけど下のほうが(台座に)くっついていなくて少し浮いたような状態」
「パナソニック最後のねぶただから賞を取りたいなって気持ちはみんな持ってる」
最後の夏にかける思いは特別です。
【パナソニックねぶた会 山崎孝之会長】
「蓮明先生に良いねぶたを作っていただきましたし、今年の評価を高めていただいて、また(蓮明さんが)ねぶた祭に参加していただけるような流れを作れればなと思っております」
【ねぶた師 北村蓮明さん】
「最後だからな、皆さん頑張ってほしい。それで船に乗りましょうと」
もう一度、ねぶたを海へ。
たくさんの人に支えられてきたパナソニックねぶた会が思いを一つに躍動します。















